ニューカマー
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『「相模原障害者殺傷事件 ~あるべき薬の服用と在宅支援~」 ~ ニューカマー ~』のイメージ画像

少し時間が経ちましたが、あらためて「相模原障害者殺傷事件」に関連して、私なりの論考を書かせていただきます。
7月26日に起きた凄惨な事件。「19人が死亡。26人が重軽傷」第一報を聞いたときは、一瞬耳を疑いました。今後も、事件の検証や対策案の検討が進むでしょうから、折に触れて書いていきたいと思うのですが、ひとまず、私が自分の仕事の事例から「精神疾患の処方薬や、在宅支援の重要性」について、以下に続けます。

私は日頃、NPOスタッフ(社会福祉士)として、身寄りのない高齢者や障害者の方の 「身元保証」や「金銭管理」、家族代わりとしての「生活支援」を行っています。
私が担当する利用者さんの中にも、過去に加害行為を犯してしまった精神障害者の方がいます。
1例をお示しすると、その方は初老の男性の統合失調症者で、長く幻聴や幻視が続き、「攻撃を受けている⇒反撃しなきゃ」という妄想の下、近所の人を襲撃し、軽傷を負わす事件を過去に2度起こしています。(措置入院2回、ともに不起訴)

その方は、現在一人暮らしです。今は比較的安定していますが、精神疾患の根治は望めないため、私が月に1度付き添い、精神科に外来受診されています。精神疾患の病状には個人差がありますが、一般的には「薬の調整が命綱」です。

相模原の事件に関していえば、おそらく加害者は病気です。精神疾患は治っていません。(刑法上の極刑には問われるでしょうが)、加害者を諭したり、反省を求めたりしても意味がありません。(衆議院議長への手紙の内容は、明らかな妄想で、これは病気の証左です。)

統合失調症などに効果のある、精神を安定させる薬は、現在有効なものが多数出ています。
一番メジャーな薬である「リスパダール」は、安価なジェネリックがあります。後発薬で双極性の躁鬱病(上がりすぎ、下がりすぎの両方)に効く「エビリファイ」は、月に1度の注射だけで、その効果が持続します。病識がなく、服薬を拒否する精神疾患の人には、大変有効です。
(これら非定型の抗精神病薬をうまく服用できていれば、手足の自由も適度に奪われることから、人殺しの意識と、実行する体力の両方を、うまく削ぎ落としてくれたはずです。)

事件に話を戻すと、たしかに「措置入院」は、本人の意思に反して、人権を制限する「強制入院」ですから、長くは続けられなかったのでしょうが、引き続き「①一般入院を継続して、薬による精神の安定のための日数を確保すべきだった」と思います。
あるいは本人が、あくまで入院を拒否するならば、「②医療と福祉の連携による在宅支援の体制を組む」必要があっただろうと、専門家の端くれとして疑問が尽きません。

主な精神病薬の処方は4週間が基本です。在宅にあっても、月に1度は精神科医の診察を受ける必要があります。在宅支援としては、精神科医の「指示書」の下、訪問看護が週に3~5日ほど家を訪問します。その他、ヘルパーも訪問し、服薬の状況や言動の変化を確認していくことが大切です。

私の関わる事例の方も、週3日の訪問看護、週2日のヘルパーが動いており、そこから逐一私に情報が入り、それらの情報を下に、私が1月毎の定期受診を続けています。
(一生涯にわたり、服薬の監視をつけて、ご本人と社会を防衛します。)

社会としては、今回被害にあってしまわれたような「重度の知的障害者」を守ることが絶対必要です。
そしてさらに、加害者の側を守る必要があると思います。その真意は、誰もが不幸になる加害を起こさせないために「事前に、医療と福祉で支援する」という意味です。
(行政や警察も必要ですが、法手続きや逮捕だけでは、精神疾患を抑えることには繋がりません。)

「被害者も加害者も、ともに生まない仕組みづくり」
小さな存在の私ですが、これだけの凄まじい凶行を前にして、自らの職責を噛みしめなおしているところです。
長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。

~ ニューカマー ~

コメント

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shigeo
shigeo さんからのコメント
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もう一つ。
加害者は介護?の仕事を通じて、心が病んで、偏った信念を持つようになった、としたら、この手の仕事は、やはり、シンドイんでしょうね。まともな人を狂わせてしまうような仕事なのかも。それこそ、未来には、AIやロボットにお願いする仕事なのかもしれません。
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shigeo
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加害者の措置入院に関しては「医者に警察の代わりをさせないでくれ!」という意見もあるようです。まだ、事件を起こしていない場合、逮捕することはできないのですが、医者が措置入院が必要、と言えば拘束することができるからです。

しかし、医者が行政や警察の圧力によって、診断結果を左右するようになっては、暗黒社会の幕開けとなります。国や自治体にとって不都合な人物は、全部、病院という名の牢屋に閉じ込めることができるようになるからです。そういう意味では、今回の判断は民主主義、人権尊重を守ったとも言えると思います。

一方で、そんな危険人物を放置するのか?!という意見もあるでしょう。実際、大半はそういう世論です。措置入院が無理なら、警察が(逮捕しないまでも)監視すればいいと言う人もいます。しかし、そんな監視態勢を実現するためには、警察の人数が足りません。警察官を増やすのは現実的には難しいでしょう。逮捕したほうが、まだマンパワーがかかりません。

よって、危ない人を「事前になんとかする方法」は、1)社会の都合で医者に嘘をつかせる 2)警察官を増やす 3)人権侵害・言論の自由侵害のある法律(破防法みたいな法律)を定める、どれかになります。お金(人件費)を膨大にかけるか、民主主義をあきらめるか、どちらか、とも言えます。

戦時中の治安維持法も、「空襲などの混乱に乗じて、在日外国人の暴動がおこるのが心配だ」という世論にのっかる形で制定されたと言われています。少し、今回の話に似てますよね。
民主主義や人権の尊重はリスクもある、ということです。民衆は、民主主義が万能と思わず、短所も理解しなくてはいけませんね。
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ニューカマー
ニューカマー さんからのコメント
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返信ありがとうございます。稀にみる凄惨な事件を受けて、私はまずは「まっとうな正論」を心がけましたが、たしかにalohaさんのおっしゃるとおり「社会的弱者の財政コスト」という視点は、本質をつく大変重要な問題提起だと思います。私の理解と考えの一端を、以下に続けます。

①【出生前診断】
「障害をもつ胎児の堕胎」については、すでに日本でも始まっています。「出生前診断」です。
現在は、妊婦さんの羊水を調べれば、ダウン症を持つ胎児をかなりの確率で判定できます。厚労省発表によると、過去3年間の全国総数で、高齢妊婦(35歳以上)を中心に3万615人の妊婦さんがこの診断を受けており、417人(1.36%)から染色体異常が見つかり、その9割にあたる394人が「人工中絶」を選択しています。
⇒ 知的障害者団体は「命の選別」を批判していますが、晩婚化の折、卵子や精子の劣化による胎児の障害が心配されています。安易な堕胎が広がることは問題でしょうが、出生前診断と(苦悩の末の)人工中絶は、今後も広がっていくものと思われます。

②【生活保護の劣等処遇】
生活保護には「劣等処遇の原則」というものがあります。「お恵みを受けている人」の生活レベルは、「自分で稼いでいる人」のそれよりも、低い水準にあるべきというものです。
⇒ これは当たり前だと思います。働く者がバカを見るようでは社会経済は先細りします。私はこの原則を支持します。(ですから、ワーキングプアーや低年金者が、生活保護以下の暮らしに甘んじていることは問題です。)

③【生存権のプログラム規定説】
憲法25条:生存権の最高裁判例では「プログラム規定説」が明確になっています。国民には「健康で文化的な最低限度」を求める権利があるとされていますが、その具体的な内容については、その時々の社会経済的な要因を勘案し、行政側が規定するというものです。
⇒ ない袖は振れません。これも致し方ないことで、ある意味で当然です。

「出生前診断」については、そもそも、どの大きさの受精卵(胎児)からが「人の命」なのか、という古くて新しい問題(※人工中絶と殺人の境界線)があります。
また、別の観点に目を移すと、末期患者の延命治療の是非に関連して、誰かが手を下す「安楽死」は許されない殺人か。自分で手を下す「尊厳死」は許されない自殺なのか。
さらに(死刑廃止後の)終身刑者の財政的なコストなども問題となることでしょう。
「命の範囲を社会的に決めること」「命のコストを財政的に測ること」については、実に様々な難しい問いがありますね。

【追伸】
私は、人権を重んじる立場ですが、いわゆる「人権派」ではありません。「優しさ」ばかりを強調しても「あまり役に立たない」と思っています。私はあくまで「倫理」を問いたいわけです。
「優しさの論理構造を再検証」すること。そして(不都合な真実も含め)「社会における落とし所」を創りだすこと。
ですから、「様々な領域から社会を学びたい」「より多くの人につながる言葉を持ちたい」「進んでアウェーに自身を拓いていきたい」と常々考えています。
今後とも、皆さんといろいろなテーマを議論していけるとありがたいです。
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aloha
aloha さんからのコメント
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現場のお話としてニューカマーさんの言うことはよくわかります。もちろん殺人は良くないと思ってますよ。でもあえて違う視点からききたいのですが、重度の知的障害者を含めた社会的弱者を社会が守るのはどこまで守るのですか? 北欧のある国では妊娠時点で知的障害が見つかった場合、中絶させていると聞いたことがあります。小さな国では社会福祉のお金が増えるのは国民の負担が増えて困る、かといって家族が犠牲になることも良しとしないのが理由です。だから社会的弱者を最初から作らないようにしています。
弱者を守ることは強者や強者とまでも言えないけど弱者ではない人の負担の上で成り立ちますよね。低成長で借金ジャブジャブの日本はそれをどうやってどこまでやるのがいいのでしょう?
ニューカマーさんの考えを教えてください。
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